【書評】これからの「お看取り」を考える本

こんにちは、ステフです。

 

今年度初投稿です。夏休みで時間が取れて色々考え事をしていたときに、ブログをほったらかしていたことに気付きましたギクリ。そろそろ向き合わないといけないと思い、復活させる決意です。

 

4月から山間部の一人診療所に赴任し、所長となってしまいましたシンジラレン

看取りに携わる機会が多く、最近は診療所内で看取り後カンファを始めてみました。なんとなくもやもや感が払拭できず、スタッフに話してみたところ快諾されたからです。

 

総合診療EBMといえば名郷先生。看取りの本があるという情報を受け、さっそく読んでみました。

 

読み応えが半端ないです。ボリュームというより、内容が凝縮され濃厚でした。

ただ実地臨床(医療過疎地域での外来や訪問診療、予防医療等)を経験していないと読解は難しく、内容によっては乱暴に取られるような内容もありました。個人的には髄まで染みわたる内容でしたが、

 

  • 看取り/死はプロセスである
  • ACPは意思決定の場ではなく看取りのプロセスそのもの
  • 下り坂に優しい看取り

 

「医療が受けられる権利を残しつつ、どこかで終わりのポイントを見出し、その経過で介護・ケアを継続的に提供し、死を前提とした看取り」

 

【書評】

「生」と「死」両面を持って、日常生活を営んでいることが実感できた。終末期において、医療としてできることはほとんどないことは。家庭医療を提供している立場から常々感じている。「生」の希望/絶望、「死」の希望/絶望を意識し、両価性を認識することはもやもや感を言語化できる方法と感じた。

 

日常診療では、illness trajectoryを常々意識するようにしている。気を付けないといけないのは、それが医療のみを表していること。生活を支援する介護・ケアと協働し、病状悪化の傾きを可能な限り緩やかにすることが総合診療医のできることと感じた。

 

過剰医療を無意識に切望する社会に対して、警鐘を鳴らしている点に関しては理解共感はできるが、医療を適切に提供することが仕事であり、立場的になにかを変えることは困難と感じた。

 

看取り後カンファに生かせていけたらと思います!

後期研修中に再度読み返したいと思える1冊だった。ではまた!